固定電話恐怖症の時代の新人育成
2020/02/29
朝の番組で、「固定電話恐怖症」が取り上げら、ネット上でも話題になっているそうです。
固定電話症候群とは、文字通り、固定電話での電話応対に恐怖やストレスを感じる症状のこと。
具体的には固定電話が鳴ると、ドキっとしたり体が震えたりということもあるそうです。
わたしは、毎年春の合同型新人研修などで、電話応対についてお伝えする際、固定電話が家にあるか、また、固定電話がある場合、鳴った際に自分が取る機会があるかを各社の新入社員の方に質問をしています。
そうすると、「固定電話があったとしてもほぼ取らない、または親から迷惑電話たいさくなどで取らないように言われて育った」ケースが多く、中には「固定電話がない」という家で育ったかたもいらっしゃいます。
固定電話世代の私ですら、新人アナウンサー時代、率先して素早く取るように指導されていても、外線電話・内線電話いずれも目の前の固定電話が鳴るとたじろぎ、「誰かが自分より先に取ってくれないかなぁ」と一瞬だけ淡い期待をしつつ、ドキドキしながら電話を取りました。
最初はまさに子どもの使い状態で、取ったらいいものの「○○さんという方から電話です。どうしたらいいですか?!(←今思うと恐ろしいぐらい直球で先輩にふっていました)」と優しい先輩方に何度も応対を替わってもらい、時には電話口の相手にお小言をいただくこともありました。
結局、相手の部署や名前をしっかり聞き取りながら正しい敬語を駆使しつつ取次ぎを完了させるまでには、入社してだいぶ時間が経ってからのような記憶があります。
固定電話世代ですら、学生から社会人になった時はそんな状況。
いわんや。
連絡ツールは、固定電話から携帯電話・スマートフォンに移り、突発の声でのやり取りからメールやラインといった受け手側に都合の良いタイミングで確認・返信できるスタイルが主流の今、固定電話の経験が浅い世代が、「突然」鳴って、「誰から」「どんな用件で」かかってきたかわからない電話を取るのは確かに苦痛だと思います。
そうは言っても、ビジネス現場で固定電話での応対はまだまだ求められます。(番組キャスターが「そうは言っても仕事だからね!」といったそのままです、はい。)
必要なスキルであることに違いはありません。
経験が浅い故によくわからず苦手な訳ですから、業務の一環として身につけてもらうためには、「より丁寧かつ長い目で見た指導と本人の経験の積み重ねが必要」ということです。
「電話応対は当たり前」、「習うより慣れろ」、「電話は新人が取るものだ」というひと世代上の「当たり前」は、新人世代にそのまま通用はしません。
新入社員研修時にしっかり時間を取って、電話応対の心構えから学び、手順を何度も練習して繰り返し、現場レベルで先輩たちがサポートを続けていくことです。
失敗やできないことを責めるだけでは、それこそ固定電話恐怖症を増やすだけ。
ひいては、離職につながりかねないですね。
最初は手取り足取り具体的な応対や対処法、事例を伝え、フォロー体制をしっかり取る。
質問しやすい環境を作る。
先輩の方から、質問がないか、疑問や不安がないか言葉を少しずつ変えて頻繁に声掛けをする。
「わからないやつが聞いてこい」という待ちの姿勢より、一歩新人側に踏み込んでいくコミュニケーションが大切だと思うのです。
そして、できたらほめる、ねぎらうことも是非指導とセットで。
組織では何かと「上下」で物事を考えがちですし、自分の価値観が「当たり前」になりがちですが、「相手の立場に立って考え行動する」というコミュニケーションの基本が、電話応対恐怖症撲滅への一歩につながるのではないでしょうか。
電話応対が丁寧かつスムーズにできる組織は、それだけで印象が良くなります。
固定電話恐怖症・・・、今は何でもネーミングにしてちょっと大げさじゃない?なんて思わずに、手厚く身につけられるところまで丁寧に具体的に電話の応対スキルを伝えていくこと、そうした組織側の取り組みが求められる時代になってきているように感じます。
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