その言葉、「しっくり」きますか?
最近、インスタグラム(@yumicchih)でも話し方についてあれこれと書いており、読んだ方からメッセージをいただきました。
長らく企業にお勤めで、すでに役職についている方なので、公の場で社の代表として挨拶をしたりするポジションです。
先日、とある場で挨拶をするときに、最初は前任者が残した原稿を参考にしようとしたところ(正攻法ですね)、前任者はいわゆる「硬い」タイプの人で、真似して読もうとしてもしっくりこず、頭の中に全然入らなかったのだとか。
結局、挨拶のひな形に沿ったスピーチではないものの、自分の中から出てくる言葉で乗り切り、「自分の言葉で語るって大事ですね」と感想を寄せてくれました。
この、「しっくりくるか、こないのか」は、とても大切です。
わたしもアナウンサーの仕事をしていて、例えば一年に一回のマラソン大会のリポーターに着くとき、準備の一環として過去の録画映像を引っ張り出してきて、シミレーションをしながら前回担当したアナウンサーのリポートを真似して画面に合わせてしゃべる練習をいたします。
でもこれが前任者の言葉をなぞると、どうにもこうにも「しっくりこない」のですよね。
言葉の選び方や間の取り方や事前の取材情報を盛り込んだりなど、アナウンサーによって違うので、「同じ状況」を伝えるにしても人によって表現が違うのです。
それが「その人らしさ」であるわけで、聴き手に好印象な場合、「この人の実況やリポートはわかりやすい」、「よく勉強しているな」、「臨場感がある」、「聴いていて明るい気持ちになる」といった感想に繋がっていくし、逆に、「間違いはないけど、ちょっと物足りない」、「この状況、もっと言葉豊かに伝えて」、「今、その話要らなくない?」、「つまんないなぁ」といったマイナスの印象にもつながります。
挨拶もしかりで、いかにもよく聞く「ひな形です!」というスピーチもあれば(間違いはないし聞く側に安心感はあります。どうにもこうにもあがり症さんはコレで!)、自分の経験談を盛り込んで話してみたり(聴き手は急にしゃべり手に興味がわきます)、ちょっと周りを取材をして「例年こんな感じですが、今年は〇〇が取り入れられると言うことですね」など生の情報を盛り込んだり(聴き手は自分たちに関心を持ってもらえてうれしいし好印象に映る)、いろんな方法があります。
どれを選ぶか、どの言葉で伝えるかを、大袈裟に言うなら、立場や個性と相談して世界に一つだけの「あなたのスピーチ」になるのです。
そこには、性格、今までの人生経験、今までのスピーチ経験、語彙力、想像力、コミュニケーション力、すべてが関わるので、結局のところ、「話し方を磨く」とは、「人間力を磨くこと」という深いところにいきつきます。
役職や立場が変わってスピーチする機会が出てきた方は、原稿を準備するとき、まずはこの「しっくりくる」かどうかを大事になさってくださいね。
ムリは禁物。借り物ではなく、「これは自分の言葉だ」と思える話し方がオススメです。
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