辛いとき力が湧くサクラの話
新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるために、緊急事態宣言が発令されました。
いまは皆が堪えどき、頑張りどきで、真っ暗で長いトンネルの中に入ってしまったような気持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
こんな時に私が必ず思い出す話があります。こどもの頃、国語の教科書で読んだ大岡信さんの「言葉の力」の中の一節で、染色家・志村ふくみさんとのやりとりです。
志村さんの仕事場で、大岡さんは、桜で染めたという美しい着物を見せてもらい、てっきり桜の花びらを煮詰めて色を取り出したのだろうと想像します。しかし、実際は、「桜の皮」から取り出した色でした。そして、志村さんから教わります。
「この桜色は一年中どの季節でも取れるわけではない。桜の花が咲く直前の頃、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな上気したような、えも言われぬ色が取り出せるのだ」と。
「えも言われぬ色」という表現に、一体それはどんな素晴らしい色なんだろうと想像を膨らませ、桜って、自然ってすごいなと記憶にしっかり刻まれたエピソードです。
そして、自分が大人になる過程で、サクラが花を咲かせるまでのサイクルと、人の成すことを重ねてみるようになりました。
だからなのか、私は、「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ」という言葉がとても好きです。物事が思うように運ばないときに思い出すと、とても力がわいてくる言葉です。
未だかつてないウイルスとの闘いは、まるで目には見えない戦争のようで、不安も心配もつきません。仕事も日々の活動も思うようにはいかなくなりました。
ただ、自らの心の持ち方や気持ちは自分でコントロールができます。
今、咲いている桜も、冬の寒さにじっと耐えながら、幹の中で花を咲かす準備を着々として今年も見事に咲いてくれました。
私たちも心を強く明るく持って、今は下に根をはり、幹の中を充実させる時と考えて、日々を精一杯過ごすことで、いつしかトンネルの先に青空が広がるのではないでしょうか。
まっ暗闇を知ったならば、次に出会う青空は、きっと今まで以上に明るく、まぶしく感じられるはずです。
ともに、笑顔を忘れず頑張りましょう。
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