要らない言葉問題
2023/08/04
先日、ある学びの動画を視聴中、困ったことに途中から中身がさっぱり頭に入ってこなくなりました。
集中力が足りないのか、はたまた、仕事柄、無意識に人の話し方をチェックしてしまう習性があるので、内容ではなく話し方に気をとられたか、最初はどちらかかと思ったのですが、よくよく視聴し直してみて、ほどなくして原因がわかりました。
講師の話し方が特徴的で、話し始めに、「で、まああの何か、これっていうのは」をつけてから本題が始まり、話の終わりが、「〇〇っていう側面があるのかなという風に思ったりします」というパターンが続いていたのです。
「申し訳ないけれど、まだるっこしく感じるなぁ」と思い、文字に書き起こして考えたのですが、文頭の「で、まああの何かこれっていうのは」は、シンプルに、「これは」で済みますね。
ひとつひとつの言葉をばらしてみると、文頭を「で」から始め、次に話をつなぐ、「まあ」と話のリズムを取る、「あの」は次の言葉が出ないときについ言いがち、「何か」も「何と言いますか」「何ていったらいいんでしょう」等、口にしがち、「~っていうのは」も会話調で伝えようとくだけようとすると頻出する、といった具合で、私自身、大反省しなくてはいけないほど、「あるある」なしゃべり方なのです。
しつこいけれど、文尾もみてみましょう。
文尾の「〇〇っていう側面があるのかなという風に思ったりします」は、「側面」→一部、「あるのかな」→断定を避ける、「という風に」→同じく断定を避ける、「思ったりします」→さらにふわっとした表現?の積み重ねで、言いたいことがどんどんぼやけてきます。
私の場合、上に書いたように、「断定を避けたい」、また「偉そうに聞こえないように柔らかく伝えたい」という心理が働くと、「~っていう側面があるのかなと思ったりはします」に似た表現を使ってしまいます。
言い切らないまろやかさはあり、例外もあるよというリスク回避にもなるのですが、「じゃあ、いったいどっちなの?はっきりしてよ!」と思われないこともないようなあるような(笑)、いや、思われます。
不要な言葉が積もり積もると、話の中心が見えにくくなり、「で、結局何が言いたいの?」と聴き手に伝わりにくくなるのです。
思い当たる節がある方、プレゼンテーションや講義、会議での説明など人前で一人喋りをする機会が多い方は、一度、ご自身のしゃべりを録音して聞き直したり、文字に起こしてみると良いですよ。
「意外にすっきり伝えている」のか、「要らない言葉を多用しているのか」、すぐに気づくことができるでしょう。
こうした要らない言葉を取り払って、文章と文章の間でゆっくり間を取りながら伝えることで、私たちの話は格段に聞きやすく、伝わりやすくなるのです。
「相手に伝わる」ように、私も心して、シンプルに伝えようと思った出来事でした。
そして、動画の内容はとても充実していて、とても勉強になったことを付け加えておきます(^^)
【話し方やプレゼンテーション研修、個人レッスンのお問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ】https://haradayumiko.com/contact/
関連記事
-
-
声は人の印象そのものです
先日、お久しぶりに電話でお話をした女性経営者の方。   …
-
-
寄り添える人でありたい
年齢もあって、人から相談される機会が多くなってきたように感じます。 …
-
-
知っていること できていること
以前は、「話し方のテクニックを学ぶ」となると、本を買って勉強するか話し方教室に通 …
-
-
想いの伝え方
とあるインタビューを受けまして、録音したものを文字に起こした原稿を見て、愕然とし …
-
-
人前での挨拶@送別会
名古屋は、すごい勢いでソメイヨシノが開き、花たちが咲き競っています …
-
-
オンライン・ミーティング
パーソナルレッスンをご検討の方とzoomでつなぎ、ちょっとしたおしゃべりも交えな …
-
-
「いざ本番!」までの準備とは
オリンピック、日々熱戦が続いていますね。 大舞台で力を発揮できるポ …
-
-
目指せ!スピーチの達人①
スピーチをする際、「かっこいいことを言わねば」と、つい肩や心に力が入ってしまうこ …
-
-
好印象を持たれる自己紹介②
好感を持たれる自己紹介。 前回は、「誰に」、「何を」、「どのように …
-
-
話し方を磨くことは 人間を磨くこと
吉野家の常務取締役が講師として登壇した講座で、女性を蔑視する不適切な発言をした問 …
- PREV
- 8月です
- NEXT
- ゆる山ぶらり〜乗鞍岳