その話し方で伝わりますか?
2022/06/21
とある情報番組の中継コーナーを見ていて、「あ~・・・(残念!)」と感じる話し方に遭遇しました。
中継を担当する男性アナウンサーは、正しい日本語を使い、おそらく台本通りの正しい進行をし、どこも間違ってはいないのですが、なぜかスタジオが「寒~い」感じ。
そして、視聴者として見ている私もうっすら寒く感じて、内容に集中できないのです。
自分自身が中継の仕事をたくさんしてきただけに、よそ様の中継を見ていて、この空気感は見過ごせません。
このケース、一般の方のスピーチやプレゼンテーションにも同じことが当てはまるので、少し分析してみました。
「寒さ」の一番の原因は、中継側が、中継の進行「だけ」に集中してしまって、スタジオや視聴者を話に巻き込むことに気がまわらなかったことだと思います。
スピーチやプレゼンテーションの場面で言えば、原稿に集中してしまって、自分が喋ることだけで手いっぱいになってしまったのと同じです。
中継もプレゼンも、「聴き手と一緒に」作っていくことが大切です。
一方通行にならないように、中継であれば「きょうのテーマは〇〇です。〇〇と言えば、今、このような方たちの間で話題になっているんです。」、「〇〇と言えば、没後〇年ということで注目が集まっています。」「皆さん、〇〇というと何を思い出しますか?△△!という方が多いと思います」、「〇〇と言えば、昔、教科書に△△が載っていたこと、スタジオのAさん、覚えていませんか?」など、まず、「今日は、このお話をしますよ」、「この話は聞かないと損ですよ」と、喋り手の温度と聴き手の温度を同じぐらい熱くしてテーマに興味をもってもらう作業が必要です。
まず、両者の頭の中に、「〇〇」が同じように浮かんでから、いよいよ本題に入る流れが理想です。
ところが見ていて、スタジオとの掛け合いがいっさいなく、話の本題へと流れてしまったので、スタジオのメンバーも中継先に絡むに絡めず。
話に入りたいのに入る「余地」がないのですよね。スピーチやプレゼンだったら、聴いている側は興味を持って話し手と目を合わせて、「うんうん!」とうなづきたいところが目さえ合わない感じでしょうか。
これは、聴き手としては、とてももどかしい瞬間です。
そして、スタジオが低温なまま、レポーター(局アナ)さんは事前に一生懸命考えたであろうボケをかまします。(←逆にすごい勇気だと感じました)
しかしながら、最初に両者の興味関心の温度を合わせる作業ができていない(関係性ができていない)ので、残念ながら寒さ倍増(ちょっといたたまれなかったです。。
その寒さを埋めるかの如く、〇〇について解説する専門家が次々と出てきて、細かな説明を進めていく、という、流れるようでどうにもこうにも見る側聴く側にとって「腑に落ちない」中継が続いていきます。
おそらく、中継サイドは何度もリハーサルを重ね、「この流れ」と「内容」を熟知しているはず。
しかし、スタジオ側、視聴者側は、「初めてみる映像」「初めてきく話」の連続なわけですから、ひとつひとつ、味わいながら、言葉と映像を確認しながら興味をもって理解する「時間」が必要です。
「こちら、ご覧になっていかがですか」「ここに見える特徴、一番の見所ですがおわかりですか?」とゆっくり間を持たせながらスタジオと掛け合えば、見る側に「味わう間」「理解する間」が生まれるのになぁ・・・。それが、話し手→「この情報、すごいですよ!見てくださいよ!(伝えたい)」、聴き手→「へえ、こりゃあいい情報をもらった!得したよ!(受け取りたい、受け取った!)」とお互いの満足につながるのになぁと非常にもったいなく感じたのでした。
大いなる自戒も含めて、皆さんのスピーチやプレゼンでも、原稿に集中するがあまりに、一番大切なお客様=聴き手を置き去りにして、時に「一方的」に、時に「早口」に、話や説明を進めてしまっていることはありませんか?
「ここまでいかがですか?」、「こんなケース、みなさんの周りでみたことはありませんか?」、「このサービス、利用されたことはありますか?」など、上手に聴き手に声をかけて、聴き手が興味関心を持って話に聞き入っているか表情なども確認しつつ、一方通行ではない、双方向のコミュニケーションを目指したいですよね。
「自分がしっかり話すことが大事」なのか、「相手によくわかってもらうことが大事」なのか、心ひとつで人の話し方は変わります。
自分がそこそこ話せているようで伝わっている手応えが感じられない!という方は、一度、このあたりを見直して見ることをオススメします。
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週末は、山登りでリフレッシュ!今週も元気に頑張りましょうね。
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