伝わるプレゼンテーション 「読む」のか「伝える」のか
以前、「AIのようなしゃべりだ、と言われたことがあります。心に響くような話し方や説明の仕方はないでしょうか」という質問を女性からいただいたことがあります。
どのようなシチュエーションで言われたのでしょうね。
言われた時はショックだったろうなぁと思います。
おそらく、機械的な、無機質な印象を受けるしゃべりになっていたのだと推察されますが、「プレゼンのために用意した原稿を、一言一句間違わないように完璧に読もうとする」と、彼女が言われてしまったような「ロボット的」な伝え方に陥りがちです。
プレゼンテーションは、「しゃべり手と聞き手がライブで顔を揃え、情報を共有する場」です。
「その場」で、相手の心を動かすことができるかどうかが勝負の分かれ目です。
そうすると、まっすぐ聴衆を見据えて全身全霊で会場中に訴えるぐらいのパワーが要るでしょう。
一方、「完璧に読もうとする」アクションを想像すると、視線や気持ちはどこに向かっているでしょうか。
おそらく、視線は聞き手ではなく手元の原稿を必死に追い、意識は「間違えたくない自分」に向いてしまっています。
これでは残念ながら「相手」に伝わることは決してありません。
もちろん原稿を手元に置いてプレゼンに臨んで良いと思います。
しかし、発表する内容に関して、一番勉強して一番把握しているのは他の誰でもなく発表者自身ですから、頭の中にしっかり発表の中身は詰まっているはずです。
少しぐらい、言葉や言い回しが予定と変わっても良いではないですか。
「これは是非知って欲しい、わかって欲しい」と必死になれば、人はおのずと声が大きくなり、強調したいパートは間をとって抑揚をつけて感情豊かに、手振り身振りを交えて相手に訴えかけていくでしょう。
「間違いがないように読む」のではなく、「一生懸命相手に伝えること」です。
話し方は、「テクニック」と「心の在り方」の両輪です。
伝え方が棒読みになってしまったり一方的に淡々と伝えがちだと悩まれている方は、、一度、自分の中の「熱さ」や「伝えたい気持ち」、「なぜ、これを伝えたいと思ったのか」という最初のきっかけなどを思い出してみると良いでしょう。
感情が伴ってくることで、プレゼンがイキイキとし始めます。
「一生懸命」は、必ず相手に伝わるのです。
関連記事
-
-
言葉にしていくこと~イチロー選手の会見を見て
イチロー選手の深夜の会見から一夜が明け、食い入るように会見の様子を …
-
-
リモートでのコミュニケーション
今日は、動画のナレーション収録と、講演・司会の打ち合わせ。 収録は …
-
-
立て続けに
6月に入り、緊急事態宣言が明けるなぁ、少しずつ世の中が動き始めるぞと思った瞬間、 …
-
-
雑談のヒント
今朝、目が覚めて窓を開けた瞬間、早朝のやわらかな空気に、とても久しぶりに「涼しい …
-
-
オンラインで届け 心まで
教育に携わる方からご相談を受ける機会が増えて、先日、プロ家庭教師として長いキャリ …
-
-
スピーチ・プレゼンで失敗しない!緊張コントロール法②
年度替わりに増えるご質問。 緊張のコントロール方法についてお伝えす …
-
-
練習は裏切らない
ここ二年程、私、ジムに通って地味〜に筋トレに取り組んでいます。 始 …
-
-
ボキャブラリーを増やすには②
はい、「ボキャブラリーを増やすには①」の続きです。 …
-
-
「ツタバナ」ブログもご覧ください♪
「ツタバナ」は、梶原しげるアナが塾長をつとめる話し方オンラインスクールです。 & …
-
-
朝ドラ上司に学ぶ「話を聞いてもらうコツ」
今回のNHK朝のドラマ「おかえりモネ」は、主人公の職業が「気象予報士」ということ …
- PREV
- 講師のための オンラインだからこそ身につけたい伝え方
- NEXT
- さぁ7月